頂き小説

ルインさんより
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輪廻の代償




この空虚の中では何も聞えない。

ただ、一点の雑音さえ除けば、ただのブタ箱だ。




超高層ビルの屋上の上から街並みを見下ろしたあと、
少年は夜空に向かって手をかざした。


目を開けられない程の豪雨が顔や全身に降り注ぐ。


───あの頃と同じだ。


狭い空間から這い上がっても、結局は何も変わらない。


どこへ行っても汚いものは汚いのだ。






───この世界は腐っている。





───10年前





「本当なんだ…!ボクを信じてよ!」

「ハッ…でたよ。またこいつオレ達を騙そうとしてやがる。「誰が信じるかよ!」

「そうだ、そうだ!毎日のように絡んで来やがって気持ち悪い。しつこいんだよ!」


ドンッ!


「うわっ…!!」


教室の中で言い争っていた二人組みの一人が小柄の少年を突き飛ばす。

ガシャーン!と鳴り響いた音に流れて、バタンッ!!っと盛大な音が続く。


小柄な少年は、後ろの机に背を打つように机ごと倒れた。

「痛っ…」

誰の机かもわからないその中身からは、教材や筆箱などが散乱している。

「はははっ!いい気味だ。これに懲りたらもうウソはつくなよ」

「ジ…ジンくん…」

「あん?なんだよ、ケイ」

「ユウトの頭から血が…」

「あ…!や、やべぇぞ…!にげろ!」

ジンは顔を真っ青にしながら駆け出した。

「うぁあああ…!!ま、待ってよ…!!」






────小柄な少年、二年一組、深崎裕兎は、その光景を最後に意識を失っていった。



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