野中 星
【シベリア抑留〔付記①〕】
〔＆〕
１９４５（昭和20）年８月の敗戦後、旧満州、朝鮮北部、樺太、千島にいた日本軍将兵はソ連に投降した。ソ連は９月11日、「約59万４千人を収容」と発表。その後、消息が途絶えた。通信や交通は途絶。ソ連の発表もない。
翌１９４６年になって、「シベリアの収容所に送られた」という外電が流れる。
俘虜は建設作業や森林伐採、採炭に追われ、最初の冬に多くの死者が出た。多くは粗末な食事による栄養失調だった。
日本政府と留守家族の強い要求を受けた連合国軍総司令部（ＧＨＱ）は、「家庭復帰」をうたったポツダム宣言の履行をソ連に迫り、12月19日、「月５万人」ペースの送還を定めた米ソ協定が正式に締結された。
引き揚げ船が続々と舞鶴と函館の港に入る。
（荷役に従事する捕虜）は被服もクツもボロボロ、精神的にも肉体的にも精魂つきたように見えた。
１９５０年４月21日、ソ連のタス通信社は、戦犯を除く送還完了を発表した。だが、いまだ帰らぬ肉親を待つ家族もいた。
<2009(平成21). 8.27>
〔朝日新聞より抜粋編集〕
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