野中 星
【新彊ウイグル自治区】
〔＆〕
新彊ウイグル自治区の叙事詩「ﾏﾅｽ」
2009(平成21). 7. 7
〔朝日新聞より〕
┌――――――――――┐
│少 数 民 族 が ６ 割│
│独 立 宣 言 の 過 去│
└――――――――――┘
新彊ウイグル自治区は「少数民族問題の火薬庫」と呼ばれ、中国当局が最も警戒している辺境地域だ。
新彊ウイグル自治区の人口は２０５０万人。うち約６割を、漢族以外のウイグル族など少数民族が占める。かつて「東トルキスタン共和国」として「独立」を宣言した歴史があり、新中国建国後もウイグル族の中には分離・独立への動きがくすぶり続けた。
背景にあるのは、自治区に次々と流入してくる漢族に対する不満だ。中国当局は自治区の経済開発に力を入れてきたが、「それで豊かになるのは漢族の企業ばかりだ」という思いがウイグル族側には強い。文化大革命などでイスラム強信仰が激しく迫害された記憶も生々しく残る。
当局側は政治犯の摘発など、力ずくで独立の動きを封じ込めようとしてきた。自治区はカザフスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタンといったイスラム系諸国と国境をせっしており、国外からの支援の動きにも神経をとがらせる。「世界ウイグル会議」（本部＝ドイツ・ミュンヘン）などの国外のウイグル人組織は、こうした当局の厳しい弾圧の実態を訴えている。
1997年には同自治区の伊寧市で大規模な暴動が起きたが、今回（2009. 7. 7）の騒乱はそれを上回る死傷者が出た可能性がある。
一方、中国当局は、ウイグル族の独立派組織がテロ活動に関与しているとして、国際社会の理解を求めようとの訴えも強めてきた。
2001年の米同時多発テロを受け、米国との間でイスラム過激派への対テロ協力を強化。アフガニスタンで軍事訓練を積んだとされる中国系ウイグル人が米軍によって拘束され、キューバ・グアンタナモ米軍基地内の対テロ戦収容所に収容された。2009年４月には、米政府がウイグル族の過激派組織とされる「東トルキスタン・イスラム党」（ＥＴＩＰ）の指導者に対し、米国内の資産凍結などの制裁を科すと発表している。
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