野中 星wト 【『アイヌ民族、半生を語る―貧困と不平等の解決を願って』 中村康利/著 さっぽろ自由学校「遊」/発行 クルーズ/発売 1500円(税別) ISBN978-4-905756-48-4】 〔&w〕 『アイヌ民族、半生を語る―貧困と不平等の解決を願って』 中村康利/著 さっぽろ自由学校「遊」/発行 クルーズ/発売 1500円(税別) ISBN978-4-905756-48-4 ――――――――――――2009(平成21). 9. 4 『週刊 金曜日』(765号)にて紹介 ―――――――――――― 先住民族に偏在する「貧困」 本書に登場するアイヌ民族18人を、インタビュアーは匿名にせざるをえなかった。プライバシーにじかに触れる、しかし「貧困と不平等」の実態を伝えるのに不可欠な、私的な細部まで残さず描くためだ。 例えば、北海道在住の30歳代女性Nさん。小学四年で父を亡くすと、〈「ご飯をろくに食べられなかった時期があった。(略)『(高校に行く)お金はない』と思っていた」〉〈将来の展望は「何もなかった」〉。 中学を出て観光地で民族舞踊の仕事に就くも、やがて公演中止に。19歳でやはり中卒の相手と結婚するが、破綻する。 〈二人の子どもと生活するため札幌に転居して仕事を探した。しかし、「中卒ではよい条件の仕事は見つからなかった」〉。保険外交、キャディ、アイヌ刺繍を試みるが収入に恵まれず、無理がたたって体調を崩してしまう。現在は事務員だが〈あと数年で雇い止めになるという。そのため将来の展望を描くことが難しい〉。 挿入される公的調査の分析が効果的だ。「多数派日本人」(非アイヌ)と慎重に比較しながら、決して自己責任などのせいではない、〈貧困が社会的に不利な集団に偏在する〉という不平等の存在を浮き上がらせる。 アイヌ民族を「不利な集団」に仕立てたのは、同化政策を採った日本政府だ。始まりは明治期だが、今なお〈貧困が親から子供、さらに孫へと世代的に継承・再生産されている〉。 著者は、Nさんから最後に、〈「もし和人として普通に暮らしていたら(伝える文化は)何もなかったと思う。だからアイヌでよかった〉という言葉を引き出す。 「多数派」に属する全員が噛みしめるべき一言だと思う。 〔平田剛士(ひらた つよし)/フリーランス記者〕 ―――――――――――― [編集] [レスをする] [最新順][古い順] レスはありません w友達に教えるw [編集] 無料ホームページ作成は@peps! |