《新聞・雑誌記事より》

野中 星w
【2009(平成21). 7. 6  朝日新聞 〔 風 〕 より 「双頭」ロシアは甘くない モスクワ 福島英樹】

〔&w〕

 ロシアの中枢、クレムリン宮殿。シャンデリアに光がともると、最大の式典ホール「ゲオルギーの間」は黄金色に染まった。高さ5b近い金色の扉の向こうから、メドべージェフ大統領が現れた。
 5月末。日本を含む12ヵ国の新任駐ロ大使による信任状奉呈式は、華やかに幕を開けた。あいさつに立った大統領は1国ずつ友好発展への期待を述べていく。だが、11番目の日本になると突然、声色が変わった。
 「看過できないのは、クリル諸島(北方領土)へのロシアの主権を疑問視する最近の日本側の試みだ」。厳しい批判がホールにこだました。
10日前、麻生首相は参院予算委員会で北方領土に触れ、「ロシアの不法占拠が続いている」と発言していた。「不法占拠」という言葉が、もともと法律家の大統領には腹に据えかねたのだろう。今回、日本大使が急きょ前倒しで奉呈式に招かれたのも、大統領が一刻も早く「抗議」したかったからのようにみえる。
 ただ、首相の発言自体は日本政府の原則を述べたものだ。奉呈式での大統領発言には唐突感が否めず、日本側はすぐに抗議の意思を伝えた。
 日ロのずれを一層、象徴する出来事が6月に起きる。北方領土を日本の「固有領土」と明記した北方領土問題等解決促進特措法改正案が、11日の衆院本会議で全会一致で可決された。
 四島一括返還を求める日本にとっては当然すぎる内容のためか、日本では大きな話題にはならなかった。だが、ロシアでは反発が渦巻いた。
 ロシア外務省は声明で「(北方四島は)第2次世界大戦の結果としてソ連に移り、ロシアに法的に引き継がれたのは明らかだ」と反論。24日にはロシア下院が日本に決議取り消しを求める「対抗」声明を採択する事態になった。
 北方領土問題は今年こそ、動くかと思われていた。2月、両首脳はサハリンで「新たな独創的で型にはまらないアプローチ」をうたいあげ、5月にはプーチン首相の訪日も実現した。だが、その直後の「不法占拠」発言と「固有領土」決議が結果的に相手を刺激し、交渉の糸口をつかみ損ねたようにみえる。
 領土問題は、双方のナショナリズムに火をつけがちだ。大国意識の強いロシアの場合はなおさらで、相手の反応を冷静に読みながらの練り抜いた交渉戦略が不可欠だと感じる。「正論」を主張するにしても、難しい相手にはそれなりの処し方が要るだろう。
 ゲオルギーの間の天井には国章の「双頭のワシ」がいくつも描かれている。文字通り大統領と首相が「双頭」を組むロシアは、そう甘くない。

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