《新聞・雑誌記事より》

野中 星w
【太田 竜 にチャランケしてみるか】

〔&w〕
☆彡nochiwさんのまち

週間『金曜日』773号より
(2009年10月30日発行)

 中山千夏
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┃ リ ブ ら ん か ┃
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【31】太田竜にチャランケ
   してみるか

 久しぶりに思い出しましたよ、太田 竜(オオタ リュウ)。1970年代、矢崎泰久プロデュースのイベントで、当時の私にとっては不可思議なひとたちを見知ったものだが、そのひとり。竹中 労 とか。平岡正明とか。三人とも今は故人だ。仲よくはならなかったね。イベントで会う以外に、何かを共にする機会がなかったからね。お三方とも、会話してもぜんぜん心が通じない感じが、共通してあったなあ。間に暗くて深い川がある感じ。よほど男仕様だったのかなあ。
 太田さん、1970年代には、小柄な暗殺者みたいだったのが、1990年代には優しい求道者みたいになっていた。思想が変わったのだそうだ。よく知らないが、武闘に見切りをつけて、エコロジーにいったらしい。
 どうして思い出したかというと、先日、アイヌのひとたちの話を聞く機会があって、その縁で「先住民族アイヌからのメッセージ」というイベントを見たりして、アイヌについてちょっと考えたからだ。リブではあったものの、闘争とか運動にはからきし音痴の私だったが、『話の特集』によく登場する太田さんが『再び、辺境最深部に向かって退却せよ!』とかいう、煽情的な題の本を出したのは知っていた。それから、北海道庁爆破事件にかかわったとかかかわらないとか、少なくとも支持者ではあって、それはアイヌ民族に肩入れしてのことだ、という理解もあった。理解ったって、辺境最深部でアイヌ人と連帯したんかいな、くらいの理解しか、いまだにないが。
 で、このたび。アイヌ近代史をかじって思った。アイヌ民族と太田さんの武力革命との間には、やっぱ、暗くて深い川があったのではなかろうか、と。
 1930年に設立された北海道アイヌ協会を中心とするアイヌたちは、およそ武力革命とは遠く、地道な「非暴力文化闘争」を、根気強く続けてきたように見える。そうやって差別法「旧土人保護法」を廃止、「アイヌ文化振興法」を成立させ(1997年)、1990年代初頭には、世界に日本の先住民の存在を認知させ、2007年、日本も賛成して採択された国連「先住民宣言」成立の一翼をになった。そして、昨年(2008年)六月には、国会が政府に対して「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」を全会一致で採択した。日本国が先住民族アイヌを無視し、抑圧し、滅亡を図った歴史は、終わろうとしている。
 昔「キツネのチャランケ」と題する子ども向けのアイヌ民話を読んで、感動した。チャランケは和語にはないニュアンスの言葉だ。話し合いより闘争的。掛け合いより芸術的。言霊の力を知り抜いたひとたちの、交渉技術だ。
 美しく説得力のある言葉が、キツネの口から大河のように流れ出た、それで人間たちはおおいに感動し、キツネの言い分を飲んだ、そんな描写があったと記憶している。チャランケこそがアイヌの誇る武器であり、最も優先されてきた争い解決の手段なのだ、と私は知った。
 アイヌの現代史を見ると、その闘争は、まさにチャランケ精神の発露だ。そして、苦しみながらもちゃんと勝ってきている。アイヌは戦いに弱い、という評をよく聞くが、違う。これほどの弾圧からよみがえりつつあるのだ、アイヌはきわめて戦いに強い。軽々に武力を用いないだけだ。
 さて、日本国は、そして和人は感謝するべきだろう、アイヌが武器ではなくチャランケで戦う民族であったことを。おかげでこれから平和裡に、共存を模索できるではないか。

アクセスアップの革命


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