〔&w〕 国の側から言えば、経済的な事情で進学できない子供たちの中に埋もれた才能をそのままに放置するのはもったいないということになる。 更に、この制度の背後には多文化主義の思想がある。アメリカが多文化社会であることを認め、それに見合った人材の供給を大学に求めるという社会の姿勢がある。これらさまざまな運動の果てにオバマ大統領が登場した。 他の国の例では、オーストラリアが先住民(アボリジニ)に対して入試の点数で優遇措置をとっているし、台湾は最初から人口比に合わせて2パーセントを「原住民枠」としている。 日本ではすでに四国学院大学が「被差別少数者特別推薦入学」として、在日韓国・朝鮮人、アイヌ、沖縄人および奄美諸島出身者、その他、現代日本における被差別少数者のための別枠を設けている。 札幌大学の新しい奨学金制度は決して弱者に対する恩恵に終わるものではない。 現実の話、アイヌの家庭は貧しい。そのため大学進学率は一般の半分にも満たないし、中退率も高い。 それを是正するための奨学金なのだが、この制度の真の意義は受給者にアイヌ文化振興に力を貸すよう求めている点だ。それはつまりこの国にアイヌ文化が存在すると教育の場において公然と認めることである。 さらに、「ウレシパ(育て合い)」と呼ばれるこの制度では一般の学生たちを呼び込み、学外の企業にも参画を求めて、社会の雰囲気を変えることを視野に入れている。アイヌと和人が多文化社会に向かって互いに育て合う。 今の北海道でも、アイヌとは伝統文化をまもって片隅でひっそりと生きている数少ない人たちと思われているが、これを機に流れが変わることを期待しよう。マジョリティーとしてのヤマト民族が他者を知って成熟することを。 オーストラリアの観光の目玉にエアーズ・ロックというところがある。砂漠の真ん中にある高さ三百五十メートルほどの岩山。一個の巨大な石のように見えて強烈な印象だ。 ここはアボリジニの聖地として彼らに返還された土地だ。アボリジニはこれまで観光客にしぶしぶ登頂を許してきたが、近い将来登ることを禁じるという方針が確認された。聖山は登るものではなく下から仰ぐものである。 新政策では新たに窓口機関が設置されるという。今後、アイヌ文化の存在は日本社会をどう変えるだろう。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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